私がおっさん主人公を書く理由――憧れたのは53歳でも走り続ける背中だった

書庫だより

なぜ、おっさんが主人公?

 若き天才より、ベテランが好きだった

 幼少より、少し変わった好みだったかもしれません。

 物語でも、スポーツでも。

 若く才能に溢れた主人公より、長く戦い続けているベテランに惹かれました。
 F1を見ていた頃、応援していたのはルーベンス・バリチェロでした。
 彼は数少ないF1ウィナーでしたが、圧倒的な王者ではありません。
 レース巧者であり、優れたセッティング能力でチームを支える職人肌の苦労人です。
 絶えず、ナンバー1のミハエルシューマッハの影に隠れているが、腐らずに走り続ける。
 でも我慢の限界もある。
 反旗を翻し、戦いを挑む。
 彼はチームを去っても戦い続ける。
 そしてチャンスを掴む。
 不当な条件であっても、全力を尽くす。
 その背中が好きでした。
 多くのドライバーが未勝利で去っていく厳しい世界。
 その中で彼はしぶとく走り続け、11勝を挙げて引退しました。
 F1引退してからも、地元ブラジルでレースを続け、53歳でNASCARブラジルで栄冠を掴む
 ブラジルはアイルトンセナを輩出したレース大国。
 その中でもまだその年齢で高いレベルを維持するのは並大抵ではありません。

 ルーキーもいいですが、昔ながらの職人肌の人物というのも減りました。
 地味でもしぶとく、生き様を見せてくれる人物。
 
 そういうのに憧れます。

 私の書く物語も若い力が台頭するではなく、実直に下積みをした者が実力を発揮する。
 そういう当たり前の話が好きです。
 年を取って認められない人。
 それでも前を向く。
 諦めない。
 まだやれることがある。
 そこにストーリーが生まれます。
 そして認められる。
 人に認められるというのは気持ちがいいですよね。
 そういうのが好きです。

 もちろん、若さには若さの魅力があります。

 未熟だからこそ成長できる。
 知らないからこそ飛び込める。
 若い主人公だからこそ描ける物語もあります。

 でも私は、傷を負い、失敗し、それでも歩き続けてきた人物に惹かれます。

 過去がある。
 後悔がある。
 それでも、今この瞬間に剣を握る理由がある。

 そんな人物の背中を書きたいと思っています。

 何歳になっても、挑戦することはできる。

 何度負けても、終わりではない。

 まだ走れる。

 まだ戦える。

 そんな不器用で、泥臭くて、一本筋の通った“漢”たちを、これからも描いていきたいと思います。
 
 

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